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ブラジリアン・ダンス・ユニット LuaLuaLua

[2015,12/5]
LuaLuaLuaとは?

浅草のブラジル料理 シュハスカリア QUE BOM!(キボン)で行われたサンバショー。ボイブンバで始まり、サンバまで美しく華やかに。 ステージで踊るのは、LuaLuaLua(ルアルアルア)

Luaはポルトガル語で“月”の意味。

サンバをやっている人でもLuaLuaLuaの名前は聞いたことあるけど、主にどんな活動をしているのか解らないって人もいるかも。

そこで今回は、そんな月のように神秘的なLuaLuaLua(ルアルアルア)を特集します!!

サンバを始めたいなと思ったとき、ネットで検索するとエスコーラ・ジ・サンバ(エスコーラ/Escola)と呼ばれるサンバチームが出てきます (エスコーラよりも規模の小さいものはブロコ(Bloco)と呼びます)。

エスコーラは学校の意味をもつポルトガル語で、子供から大人まで、まさしく学校のようにそれぞれの地域を拠点として活動しています。エスコーラには、バテリア(楽器隊)とダンサーが所属しています。そして、地域の祭りやイベントなどに出演してサンバの魅力を届けながら、一年のフィナーレとなる浅草サンバカーニバルを目標に練習に励んでいます。

それではこのようなエスコーラと一体何が違うのか。ブラジリアン・ダンス・ユニット LuaLuaLuaを設立したメンバーである、恭子さんとみゆき(ミル)さんにお話を伺いました。

— サンバダンサーになったきっかけは?

ミル:「日系人のお友達が出来たのがきっかけですね。六本木にあるブラジル人が集まるアカラジェ(15年に渡り数々の伝説を残し2008年に閉店)というお店に行くようになって、サンバに出会いました」

恭:「友達の大学祭でウニアン(関東にある様々な大学のラテン系音楽サークルが集まって活動している「学生サンバ連合」)が演奏していて。子供の時から祭囃子をやっていたので、無茶苦茶かっこ良くって、この太鼓叩きたい!って思いました」

恭:「その時は、たまたまダンサーが見えなかったんです。当時はまだネットとかもなくて、どうやらサンバらしい、っていうことだけは解って。でも社会人だったので、学生しか入れないから無理だと思っていて・・・次の年にまた学祭に行ったんですよ。そして“やっぱりこれやりたい”って思っていたら、たまたま地方紙にサウーヂ(横浜を代表するエスコーラ)のことが載っていて。でも、太鼓を叩きたかったのに、結局ダンサーに(笑)」



— LuaLuaLuaは、きょうこ[恭](サウーヂ)さん、みゆき[ミル](リベルダージ)さん、りえ(ウニアン)さん、なおみ(アレグリア)さんの4人で設立したそうですが、きっかけは?※()内は出身エスコーラ。

恭:「当時はダンサーの営業と言うとエスコーラに所属しているダンサーをその都度、横の繋がりで集めて出演していましたが、クライアントの要望を叶えてく上でダンサーを揃えておく必要も出てきました。そこで私がいいショーをやりたんだよ。ちゃんとお金をはらう価値があるっていうショーをやりたいんだよって言い始めて、3人を説得してルアを始めました」

ミル:「それまでは、4人だけでひたすら練習して、振り付けを考えたり、お互い得意なことを教えあっていました」

— 今はどんな活動をしていますか?

恭:「クライアントが企業だと個人と契約できないところもあったので、LuaLuaLua設立直後に株式会社モシダーヂを起ち上げ、LuaLuaLua事業部としました。出演料もありますし、会社という形にしてきちんとやりたいというのもありましたね 。サンバショーの営業は、浅草に出場しているエスコーラに比べたら、そんなに多くないと思います。浅草でサンバを見た企業に呼んで頂いてます」

— メンバーはどのように集めましたか?

恭:「サンバはショーが商品。ダンサーが商品。だとしたら、お金をもらうに値する商品を提供しなくちゃいけない。AKBとかアイドルとか、日本では若い子にも価値がある。ちゃんと育成して世代交代もできるようにしたい。そのコンセプトがあって、集める子は若い子に限定して、1期生を募集しました」

ミル:「その時、恭子がラムズ(国際基督教大学のサンバサークル)で、りえちゃんがウニアンで教えていたので、その繋がりで声をかけました」

恭:「教え子に声をかけて、そこそこ人数が集まって。若い子を引っ張りやすい環境はありましたね」

ミル:「今は7期生です」

— LuaLuaLuaに入るにはどうしたらいいのでしょうか?

恭: 「1年に一回メンバーを募集します」

ミル:「ルアに入るには29歳以下という規定があります」

恭:「リオのサンバチームにも、パシスタ(花形ダンサー)の試験を受けるのに27歳以下とか29歳以下とか規定があるんですよ。ルアでは29歳までに受かれば、他のサンバチームに入っているのも、掛け持ちもOKです。」

ミル:「チームに入っていても全然かまわない。ルアでやりたいかどうかだけですね。パレードがしたい訳ではなく、ショーダンサーとしてなので、掛け持ちは可能です。入ってしまえば30歳を過ぎても続けることができます」

恭:「浅草(サンバカーニバル)では一時期はルアで全員ハイーニャ(バテリアの前でソロで踊るTOPダンサー)って時もありました(笑)」

— サンバ初心者でも入れますか?

ミル:「サンバ初心者でも入れますよ。今年入ってきた子にも初心者がいます。若いから覚えるのも早いですね」

恭:「ただ、ショーに出るにはオーディションがあります。踊りの技術だけでなく、容姿とかもチェックします」

ミル:「体型も。お客様にお金をもらえるかどうか」

恭:「自分に商品価値があるか。それを客観的に評価します」

ミル:「そこが他のサンバチームと違う価値観かもね」

恭:「お客さんは結構シビアです。特に女性には厳しく、すぐに評価されちゃう。ちょっと太ったなとなったらメンバーチェンジ(笑)」

ミル:「もうちょっと鍛えてから(笑)」

恭:「技術も低くければ出せないしね」

— ダンス経験がなくても入れますか?



ミル:「まったくダンス経験がない子もいます」

恭:「だから、ショーに出られるまでに1~2年かかる子もいます」

ミル:「すぐ出られる子もいれば、出られない子もいます。頑張り次第!」

恭:「後から入った子に抜かれることもある。それに耐えられるか(笑)」

ミル:「でも、みんなにチャンスはある」

恭:「本当に頑張り次第ですね」

— 今まで何人くらいが所属していますか?

恭:「延べだと60人くらい。入ってやめたりもありますね」

ミル:「体型が保てなくなったり、海外に行かなきゃならなくなったとか、結婚して離れてしまったとかいろいろです」

恭:「出産があるから難しい。出産していても、ダンススキルがあったり体型が維持できれていれば問題ないです」

ミル:「安室ちゃんなら、大丈夫です(笑)」

恭:「サンバもすぐに覚えられると思うし(笑)」

ミル:「29歳までにルアに入っていたらですけど(笑)」

— 現在は何人くらい?

恭:「現在の所属は30人くらいですね。ショーに出演できるのは半分くらい。ショーではその都度メンバーを代えます。同じメンバーとは限らない。 年齢はすごく大事です。グループとしてのバランスもあって、年齢層が広いと上手くいかない。お互いが言いやすい方がいい」

ミル:「会社組織と近いね」

恭:「同期と上手くいっている代は残るし。今は7期生までいますけど、いない代もいます。1期(一年)の多い時は15人。昨年は8人かな」

— LuaLuaLuaをやってこられてどうですか?

ミル:「女子だけでやっているので楽しいです。普通女子だけだといざこざがあったり、派閥ができたりしますけど、奇跡的に仲がいいです(笑)」

恭:「アイドルグループよりは仲がいい(笑)。ルアでは、一番は作りません。誰かがセンターとかもないです。すべての人がセンターになるショーの組み方をしています」

ミル:「先生だから、生徒だからとか、1期生だから、とかもないですね」

— 振り付けはどうしていますか?

ミル:「作りたい人は作ることも出来ます。自主性に任せています」

恭:「曲数で行くと30~40あります。全部覚えている子もいますよ。ショーごとに人数も変わるし、演出も代わるので大変ですけど」

— 衣装はどうしていますか?

恭:「曲ごとに衣装は代わるから個人負担では厳しいので、会社で衣装を持っています。会社にした理由の一つでもありますね」

ミル:「会社で衣装の材料を仕入れたり、衣装を管理しているので、ダンスに専念してもらうことができます」

恭:「衣装は業者には頼まず、作ったり、譲り受けたものをリメイクしています」

– サイズとかは?

恭:「基本は誰でも着れるようにします」

ミル:「ある程度の体型になった人しか着れないから、みんな体型が似ています」

恭:「横幅がかわらなければ、(衣装を調整出来るので)身長はあまり関係ないですね」

— 練習は?

恭:「公式練習は月に2回。それ以外にショーのための練習があります。週2~3日くらいやっている時もあります」

ミル:「繁忙期には、練習と出演が重なると週4~5日とかになります。場所は固定なところはなく、都内のいろいろなところです。チームの中で教えあうので、レッスンフィーは掛かりません」

恭:「スタジオ代だけ集めて、みんなで割ります」

ミル:「そんなにお金はかからないですね」

— 衣装代もなければ、レッスンフィーもなし!?ショーの出演者には出演料も頂ける!お得感ありますね。

恭:「でも、厳しいから、そんなに入ってこないですよ(笑)」

— 今後の目標は?

恭 &ミル:「まずは来年リオでオリンピックがあるので、盛り上げたいですね」

恭子さん、ミルさん、ありがとうございました。今回たくさんの貴重な話を聞くことができました。インタビューではサンバ以外のブラジルの話でも盛り上がり、気が付いたら閉店まじか。 続いてこの日のショーに出演した4人のダンサーにインタビュー。

 

ダンサーにインタビュー

 

写真左から
「ゆりこ:1期生(ウニアン)」
「さやか:1期生(ラムズ)」
「まなえ:6期生(ラムズ)」
「りえ:1期生(サウージ)」
※()内は出身・所属チーム。

 

— 皆さんお疲れさでした。ステージの感想をお願いします。

まなえ:「お店に来たこともなくて、ルアのメンバーに毎回、情熱を持って出演しているステージだと伺っていたので、 出演させて頂くことよりもどうしようという感じだったんですけど、楽しんでやることが出来ました」

りえ:「控室に戻ってきた時に“凄く楽しかった!”といっていたので、それが印象的でした」

— LuaLuaLuaの魅力は?

まなえ:「私のような大学からやっているダンサーは、結局何がサンバって正解なんだろうって解らなかったりもします。でも、ルアを見ていると、これがサンバなんだって解ると思います」

さやか:「プロのダンサーチームとして、お客様に喜んでもらえるショーを提供するということを意識してやっているところです。自己満足にならず、お客さまの依頼があって、いかにそのニーズにあった演出をするかを常に考えながら、演目も考えたりもしています」

ゆりこ:「サンバの一番の魅力って、お客さまと一緒に踊れるということだと思っています。ルアではショーがメインなので魅せるってところを押しているけれども、お客様を巻き込んで一緒になって踊るっていうのを大切にしているが魅力ですね」

りえ:「いろんな曲目をいろんな衣装で、ちゃんとエンターテインメントでショーをやる集団。というのが一番の魅力です」

— 最後にメッセージをお願いします。

「来年のリオ五輪に向けて依頼が増えているので、ぜひ皆さんも何かの機会の時に、ルアを呼んでいただけたら嬉しいです」

今回で3回目のステージだった初々しい6期生のまなえさんと、1期生のゆりこさん、さやかさん、りえさんのプロダンサーとしてのがコメントが印象的でした。



LuaLuaLua特集いかがでしたか?

今回のインタビューを通じて、LuaLuaLuaならではの魅力を知ることが出来ました。

サンバ界では、ウニアンやICUラムズといった大学生にもサンバダンサーやバテリア(楽器隊)経験者もいるのに、卒業と共にサンバから去っていく人が意外と多い。

勝手な推測ですが、就活があり、社会人になってしまうと、環境の変化がある。特に会社に入りたての頃は自由な時間を作るのは難しいといったことも、サンバを続けられない理由の一つではないでしょうか。

LuaLuaLuaはそんな彼女らを惹きつける魅力を持ち、大学時代に経験を積んだ若い力を次のステージへ繋ぐ役目も果たしている、と思いました。

そしてオーディションという形をとることで、若い世代の未経験者にほとんど無料でサンバを教えて育てていくことを可能にしています。さらに、他のエスコーラでも活動が可能なので、ダンスの技術を共有するという相乗効果が生まれます。こういったアイデアを実現できるのも企業ならではないでしょうか。

この日のキボンには、LuaLuaLuaのメンバーも多数遊びにきていましたが、ショーの後の歓談の様子からも仲の良さが分かりました。 そして、サンバの衣装を着ていないのに華やかなこと!非常に女子力が高かったです。

最後にLuaLuaLuaの名付け親、サウーヂのプレジデンチ、石山和男(カズー)さんに名前の由来を伺ったところ、 カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)が「Lindeza」で歌っている LuaLuaLua~♪の響きがぴったりで、三日月に腰を下ろしている恭子さんのイメージが浮かんだそうです。

インタビュー後に、夜空に浮かぶ月を思い浮かべてみると“LuaLuaLua”は、なんてぴったりのネーミングなんだろうと思いました。

サンバを始めている方、これから始めようと思っている方、毎年1回行われる、LuaLuaLuaのオーディションをチェック!

サンバに華やかさと夜空に輝く美しさを求めるときにはLuaLuaLuaへ!!

 


★WEBサイトはこちらからどうぞ!

ブラジリアン・ダンス・ユニット LuaLuaLua
QUE BOM!(キボン)
株式会社モシダーヂが運営する関内ブラジリアンダイニング&バー バハカォン

 

 

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